文学部横断型人文学プログラム

お知らせ

文学部横断型人文学プログラム 2020年度プロジェクトゼミ成果発表会を開催しました。

 2021年3月3日(水)に、2020年度文学部横断型人文学プログラム プロジェクトゼミ成果発表会を開催しました。

日時

2021年3月3日(水)13:30~15:00

開催方法

Zoomによるオンライン開催

プログラム

はじめに(文学部長 服部 隆)
プロジェクトゼミについて(運営委員長 飯野 友幸)
学生3名による発表 
質疑応答
現状と課題(ドイツ文学科教授 佐藤 朋之)

学生による発表の概要

  1. ① 英文学科 西 能史ゼミの受講生(フランス文学科4年)
     発表タイトル:オーソン・ウェルズ監督作品『真夜中の鐘』のディテール――シェイクスピアの原作・翻案・カメラワークについて
     シェイクスピアの複数の作品を元に作られた映画『真夜中の鐘』(1965)において、監督兼俳優であったオーソン・ウェルズが、シェイクスピア作品をエンターテイメント化するために細部に凝らした様々な工夫(コミカルな演出や斬新なカメラワーク等)について紹介する内容の発表でした。
  2. ② ドイツ文学科 佐藤 朋之ゼミの受講生(英文学科4年)
     発表タイトル:「ロマンティック」を考える
     18世紀後半から19世紀前半にヨーロッパで流行していた「ロマンティック」の概念は現代も有効であるか、というゼミのテーマについて、バレエ『ジゼル』(1841)のなかのロマンティックな要素(発狂、生と死の狭間、成長していこうとする姿勢)の分析をとおして考えていった、という内容の発表でした。
  3. ③ 新聞学科 碓井 広義ゼミの受講生(哲学科4年)
     発表タイトル:プロジェクト・ゼミC――ジャパノロジー・コース
     脚本家倉本聰氏のシナリオについて研究しながら、受講生が各自シナリオ制作も行うクリエイティブなゼミをとおして、ストーリーにおいて「葛藤」を表現することの重要性や、ストーリーのなかに期限(明日までに~しなければならない等)を設けることで緊張感を生み出す工夫、カメラワークを意識しながら書くこと等を学んだという内容の発表でした。

質疑応答

 発表の後は、プロジェクトゼミの利点について、学生と教員との間で積極的な意見交換がなされました。挙げられた意見としては、以下のようなものがありました。

  1. ① 学生が自分の関心分野について深く考える機会になる。
  2. ② ひとつのテーマに関心のある学生が、学科のみならず、学部の垣根まで超えて集まってくることで、新たな気づきが得られる。
  3. ③ クリエイティブなことができる(例えば、史学科の授業では、史料を元に解釈することが研究の基本姿勢であるため、解釈を超えたアプローチはできない)。
  4. ④ ゼミをとおして、自分の研究の方向性を見出したり、研究のスキルを獲得することができる(3年次に受講した学生のなかには、ゼミでの学びをもとにして優れた卒論を書いた学生も多い)。
  5. ⑤ 様々な知識を持った学生が集まるゼミにおいては、教員も、一方的に知識を付与するだけでなく、ゼミの一構成員として対話に加わることになる(このように、学びの場を共有し、楽しめるのがゼミの良いところ)。

現状と課題

 卒論の予行演習になる、就活にプラスになる、といった実利的な面もあるが、それ以上に、「学科の学びのその先へ」行くことができる横断型人文学プログラムの最終コースであるプロジェクトゼミは、学ぶことの楽しさを学ぶ場として、今後も機能しつづけていくだろう、ということが確認されました。