文学部横断型人文学プログラム

お知らせ

2020年度文学部・文学研究科教員FD研修会を開催しました。

 2021年1月20日(水)に、「コロナ禍における学生支援―文学部の現状と課題」をテーマに、文学部・文学研究科教員FD研修会を開催しました。

テーマ
「コロナ禍における学生支援―文学部の現状と課題」

趣旨

 新型コロナウイルスの流行により、今年度は、1 年間オンライン形式での授業実施を余儀なくされた。現在のところは、来年度から対面授業に復帰する前提で 2021 年度カリキュラムが考えられているが、引き続き 3 密の防止などの対策を講じる必要があり、大人数の授業については、オンデマンド授業が要請されている。

 一方、学生からも、オンライン授業の運営に関してさまざまな意見が出ている。課題の多さ、授業運営の方法など、授業形態に関する要望にも対応する必要があるが、加えて、学生の精神面に対するケアについても考えていかなければならない。

 オンライン授業となり、学生、とりわけ新入生は、かつてないストレスにさらされたと思われる。また、オンライン授業に価値を認められず、休学を選択した学生も若干数ではあるが存在している。来年度、対面授業が再開されても、こうした学生がふたたびキャンパスに集められるとき、新たな精神的問題が現れてくる可能性は否めない。

 対面授業を強く望む学生がいる一方で、教室で皆と一緒の授業を受けないで済むことが、プラスに作用している学生もいるようである。

 来年度以降、新しい対人関係の構築に苦労する学生に対してどのようなケアが必要になるのか。カウンセリングセンターから、横山恭子先生、佐々木清子先生をお迎えし、この問題について、現在の学生の状況を踏まえながら意見交換を行いたい。

日時

2021年1月20日(水)17:15~18:40

開催方法

Zoomによるオンライン開催

ゲスト

カウンセリングセンター所長 人間科学部心理学科教授  横山 恭子 先生

カウンセリングセンターカウンセラー  佐々木 清子 先生

プログラム

司会 文学部 FD 委員会副委員長 佐藤 朋之
開会の辞 文学研究科委員長 永井 敦子
「コロナ禍における学生」 カウンセリングセンター長 横山 恭子
「コロナ禍における学生理解―対面授業一部再開に向けて―」 カウンセリングセンターカウンセラー 佐々木 清子
文学部の現状 史学科長
ドイツ文学科長
新聞学科
中澤 克昭
中井 真之
水島 宏明
閉会の辞 文学部長 服部 隆

概要報告

 はじめに、カウンセリングセンターの横山先生から、コロナ禍において、大学のキャンパスに通えない学生たちには、社会的帰属意識(○○大学の○○学科に所属している)の薄れ、学力格差、生活リズムの崩れ、ゲーム依存等、メンタルヘルスに関わる様々な問題が起きている、という、国内外の調査資料に基づくご報告があった。同じくカウンセリングセンターの佐々木先生からは、4月に本学の学生がキャンパスに戻ってきた際の教員側の心構えとして、共感の姿勢を持って学生に接することが大切であるとのお話があった。特に、キャンパスにほぼはじめて通うことになる新2年生や、オンライン授業に慣れてしまった結果、対面授業に戸惑う学生に対しては、各人の状況を踏まえたうえでの長期的な対応が求められる。

 次に、本学の文学部の現状について、史学科、ドイツ文学科、新聞学科の3学科からの報告があった。

 史学科では、上級生のヘルパーによる授業や交流に関するサポートがあったことで、1年生からは満足の声を得られた半面、課題が多すぎる等の不満の声も聞かれた。

 ドイツ文学科では、キャンパスに行かないぶん、就活のために時間を有効に使えた学生がいる一方で、留学を断念せざるを得なかった学生もおり、そうした学生が学習意欲を失わないように、現地の大学の講座の紹介をするといった工夫がなされた。

 新聞学科では、1年生に向けて、徹底した感染対策のもと、本学キャンパス内にあるテレビセンターでのテレビ番組制作実習(夏季集中授業)を行った。それにより、リスクは伴うが、雑談ができるのが対面の良さであるという気づきが得られた。

 実際、オンライン授業において、教員側が率先して雑談の場を設けることは難しい。会の冒頭で横山先生がおっしゃった学生の社会的帰属意識は、雑談によって培われるものではないかと、改めて、対面授業への期待が高まった。

 しかし、その一方で、対面になったあと学生がキャンパスに来るかどうか、オンラインでの受講という特殊な環境のなかですでに学習意欲を失ってしまった学生にどのように対応するか、といった問題が議題に上がった。こうした問題については、各学生の状況に応じた個別の対応が必要であり、教員とカウンセリングセンターが協働しながら方策を検討し続けなければならないことが、講演・報告後の意見交換を通じて確認された。