つながないと
見えないことだってある
2015年度から文学部では「横断型人文学プログラム」(Interdepartmental Humanities Program)をスタートさせました。7学科の高い専門性を縦糸とするなら、それをつなぐ横糸は参加する学生の興味です。7つの学科と基盤教育センター身体知領域(旧文学部保健体育研究室)の教員が力を合わせて3つのコースを創り上げ、「身体・スポーツ文化論」・「芸術文化論」・「ジャパノロジー」を開講。異なる背景をもった学生の興味をつないでみると、これまで見えなかった世界が見えてくることでしょう。
興味のありかを探る
テクストを読む
「テクスト」というと文字で書かれたものを思い浮かべるかもしれません。しかし、ここで言う「テクスト」は文字だけではなく、たとえば史跡や遺物などの物、絵画、映像、身体など、おおよそ「読んで解釈できるもの」すべてを指します。それぞれの「読み方」を学ぶのがこのクラスです。
文化交渉入門
外来文化を受け入れたり、自国の文化を海外に発信したりする時に起こるさまざまな文化変容についての理解を深めるクラスです。文化交渉は国家間だけでなく一国内でも生じます。文学・美術・音楽・演劇・スポーツ・思想・宗教などが、異なる文化でどのように受けとめられ、変化してきたかを、過去と現在の事例を通して検証します。
「からだ」から自分を、
そして世界を捉え直してみよう
文学部にあって唯一、テクストを持たない「身体」や身体表現としての「スポーツ」を、身体文化というコンテクストから新たに捉え直し、探求するコースです。従来の身心二元論的な物としての「身体Body」ではなく、身体・心・スピリチュアリティを含む「からだSoma」の視点に立つことで、文学や哲学、歴史、メディアのなかに新たに立ち現れる、多様な感覚世界として身体の在り方や、記憶や経験をも含む身体イメージ、そしてそのまなざしの中心に立つ自分自身の「身体(存在)」に出会ってください。
芸術は世界を変える、
世界観を変える
映画館を出ると世界が違って見えたという経験をなさったことがありますでしょうか。ときに1本の映画が、ひとりの人間の人生を大きく変えることがあります。芸術は限られた日常を拡張し、世界や人間に関する深い洞察に満ちた凝縮体験をもたらすからです。ただしそれを十分に体験し尽くすには、見る側の準備が必要です。たった一つの切り口が、思いもしなかった作品世界の広がりを開示することがあるからです。切り口の豊かさだけ芸術体験は豊かになります。芸術文化論コースを通じて、芸術体験の質を、ひいては現実世界の体験の質を高め深めてゆきましょう。「芸術は人生を真似る。だがそれ以上に、人生は芸術を真似る」(オスカー・ワイルド)。
※文学部横断型人文学プログラム授業科目「舞台芸術の世界」から生まれた、『舞台芸術の世界を学ぶ―オペラ・バレエ・ダンス・ミュージカル・演劇・宝塚』が刊行されました。
ステレオタイプに
惑わされず、
多様な〈日本〉を
みつけよう
「日本文化の特徴は?」と尋ねられて、みなさんは何を挙げるでしょうか。たとえば、日本語の特徴としてよく「敬語」が取り上げられますが、「敬語(けいご)」という言葉はどうも明治以前には存在しないようです。また中学生が教わるように、敬語を「尊敬・謙譲・丁寧」といった視点からはじめて記述したのは、外国人でした。それだけではありません。方言の分布を見ると、敬語の発達した地域と、尊敬や丁寧の表現形式が未発達のいわゆる「無敬語」の地域が日本には存在します。「敬語」という日本(語)らしい現象一つをとっても、日本国内には多様性が存在しますし、「敬語」を自覚するには外からの眼も必要だったことになります。本コースでは、日本の歴史と文化を、文学、思想、芸術などのさまざまな対象を取り上げながら、内からの視線と外からの視線を交差させながら考えます。皆さんもまったく新しい〈日本〉の姿を再発見してみませんか。
文学部横断型
人文学プログラム 始動
2015年4月、横断型人文学プログラムの履修が始まりました。
2017年度秋学期より、プロジェクト・ゼミが開講されました。
※科目の内容や名称等はすべて現時点で計画にあるものです。将来的に変更になる可能性があります。