文学部横断型人文学プログラム

お知らせ

2023年度文学部・文学研究科教員FD研修会を開催しました

 2024年1月17日(水)に、「文学部横断型プログラムの〈これまで〉と〈これから〉」をテーマに、文学部・文学研究科教員FD研修会を開催しました。

テーマ
「文学部横断型プログラムの〈これまで〉と〈これから〉」

趣旨

 文学部横断型人文学プログラムは2025年度で発足十周年を迎えます。文学部の特色あるプログラムとして、文字通り学部横断的に教員が関わり、多くの学生が学んできました。すでに2017年度、2019年度の教員FD研修会で本プログラムを主題としましたが、本年度再び取り上げることにした主な理由は次の二つです。

 一つはその後着任された教員も多く、改めて横断型プログラムの趣旨と内容を共有したいということです。もう一つは、発足十周年の節目を前に〈これまで〉の成果と問題点を振り返り、横断プログラムの〈これから〉の望ましいありかたを考えたいということです。

 これまで横断型プログラムに深く関わって来られた教員、特に発足当時のことをよくご存じの方々にこれまでの経緯を、また現在横断型プログラムを担っておられる方々に現状をそれぞれお話しいただき、その上で自由闊達な意見交換を行って、横断型プログラムの〈これから〉を検討する出発点にしたいと思います。

日時

2024年1月17日(水)17:30~18:50

場所

7号館14階特別会議室

プログラム

司会 飯野 友幸(英文学科教授、文学部横断型人文学プログラム運営委員長)
開会の辞 寺田 俊郎(文学部長)
報告者 大塚 寿郎(英文学科教授)
「文学部横断型人文学プログラム創立の経緯について」
本廣 陽子(国文学科教授)
「共通基礎科目の現状について」
桑原 俊介(哲学科准教授)
「プロジェクト・ゼミの現状について」
島 健 (基盤教育センター 身体知領域長、教授)
「身体・スポーツ文化論コースの現状について」
閉会の辞 長尾 直茂(文学研究科委員長)

概要報告

 本研修では、文学部横断型人文学プログラムについて、創立の経緯や現状などを報告し、プログラムの成果と今後の課題について意見交換をおこないました。まず、報告者から以下のような情報が共有されました。

文学部横断型人文学プログラム創立の経緯について

 当時、本学での学部改変の動きや、学問領域の越境に注目する傾向などから、「文学部は現在の学科構成でよいのか?」という議論が持ち上がった。様々な案を検討する中から、文学部に共通するテクストの批判的読解などを中心とする学科の枠を超えた学部横断型コースのコンセプトが浮上した。目標として、学生が主体的に問題を発掘するアクティブラーニングの環境を提供し、教室外での活動など、机上の学習に終わらないことが挙げられていた。

共通基礎科目の現状について

 本科目は1年生の履修者が中心であり、意欲的で熱心な学生が多い印象。多様な分野のテーマで授業が構成されており、外部からも講師を招いている。今年度は演出家の講師をお招きして学生に稽古をつける授業や、能楽研究所の専門家による能面や海外の英語能に関する授業などを実施した。別分野に興味がある学生でも自分の分野との関わりを考えながら調べることができ、そうした学びへの足掛かりとして本科目は機能している。

プロジェクト・ゼミの現状について

 横断型プログラムはオープンキャンパス等で高校生から必ず話題に出るほど認知されており、また在学生からも期待されていると実感する。だがプロジェクト・ゼミは参加人数が少なく残念である。その原因として、重い授業というイメージを持たれている可能性や、就活のある3、4年生の時期にしか履修できない点が考えられる。2年生から履修できるようにしたり、現在の応募条件を撤廃して敷居を低くしたりするなどの改変が必要なのではないか。

身体・スポーツ文化論コースの現状について

 本コースではスポーツに絡んだ社会、文化に関する授業をおこない、健康やスポーツだけでなく身体を中心とした様々な学びを提供している。一方で、文学部の学生の興味に応えられているのかという疑問があり、教員が限定されている点や、プロジェクト・ゼミの参加人数が少ないといった不安要素がある。それでも、横断的な学びを文学部に提供し、新たな学びのあり方、身体の新たな捉え方を提供できているのではないか。

 続く意見交換の時間では、プロジェクト・ゼミの参加人数の問題に関し、学生に参加しやすい時期などについて意見を募ることが提案されました。また、当初は座学から脱することがテーマとなっていたためにフィールドワークが行なわれていましたが、予算が出ないため継続することが難しいという指摘がなされました。創立当初の学生の感触はとても良く、提出される課題の質も高かったものの、徐々に提出される課題の質が下がってきたという実感があり、成果を見せる機会が少ないことが要因に挙げられるのではないかとの意見も出されました。