文学部横断型人文学プログラム

活躍する卒業生
-品格のある人間をつくる 真のキャリアサポート-

新聞記者として退屈な日などなかった

川口 雅浩 氏
[1987年ドイツ文学科卒業]
毎日新聞社・前経済部編集委員(現・毎日新聞社内部監査委員)

中央官庁からIT企業まで取材 キーパーソンに会い、書くのが楽しい


ロシア・サハリンの取材 鉄路最北端の駅で

 毎日新聞経済部の記者として、中央官庁(財務省、経済産業省、外務省、総務省、農林水産省など)や日銀のほか、金融機関(銀行、生損保、証券会社)、経団連、電力・ガス・石油会社から、楽天やヤフーなどIT業界まで幅広い分野を取材し、記事を書いてきました。G7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)やサミットのほか、連載ルポの取材などで、南アフリカ、タイ、カンボジア、ベトナム、ロシア・サハリンなども訪れました。退屈な日など、一日もありませんでした。

 経済記者は政治家にも官僚にも有力企業のトップにも、あらゆるキーパーソンに会うことができます。難しそうな「世の中」の仕組みをまず自分が理解し、読者にわかりやすく問題提起するのは、経済記者の醍醐味です。今は取材の第一線を離れましたが、ジャーナリストとしては現役で、岩波書店の「世界」はじめ、雑誌やニュースサイトに原発やエネルギー政策など経済全般について記事を書いています。

居心地よかった4年間、卒業後も仲間と交流


財務省記者クラブ(財政研究会)キャップ時代

 私は物書きになりたくて文学部ばかり受験しました。早大に進み、小説家になる夢を描いて一浪しましたが、見事に失敗し、泣く泣く上智に進学しました。しかし、その後の上智の4年間は居心地がよく、ユートピアのような毎日でした。結果的に新聞記者を目指したのも学科の友人や授業の影響です。

 当事のドイツ文学科は女子49人に対して男子は16人。男子学生は文学はもちろん、演劇や音楽が好きな仲間ばかりで、マスコミに進んだり、翻訳家になった友人とは今も交流があります。女子学生とも出会いや別れがありましたが、結果的に学科内には我が家を含め、何組かのカップルが誕生しました。昔話に興味のある方は「上智大学ドイツ文学論集 百周年記念特別号」の私のエッセイを一読ください。

 就職試験でも、社会に出てからも「上智大卒」、しかも「ドイツ文学科」というと、珍しがられます。そこから話が弾むこともあり、「上智」というだけで、これまでずいぶん得をさせてもらっています。

高校生へのメッセージ

 学部・学科の選択は将来の就職よりも、まず自分の興味・関心を優先すべきでしょう。ただし、上智で外国文学や外国語を学ぶには、ちょっと覚悟、いやコツがいるかもしれません。ドイツ文学科の場合、週12時間のドイツ語のハードルは高く、いくらポルシェやBMWが好きな私でも、最初は閉口しました。でも、外国語は学びようです。単語も文法も英語との対比で学ぶことをお薦めします。あとは実際にその国に出かけ、実戦で見聞を広めることです。上智なら、それが可能です。

※本ページの情報は作成時(2013年度)の情報にもとづいています。