上智大学 文学部

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『キリシタンと出版』

キリシタン版・キリシタン文献に関するあらゆる面での最新の研究成果を一冊に集約

編著者:豊島正之教授(国文学科)

キリシタンと出版

1549年のザビエルの来日・布教開始から四十年を経て欧州を訪れた天正少年使節は、欧州で製作させた初の金属製漢字・仮名活字とプレス式印刷機を携えて帰国し、帰国の翌年1591年には最初の国内印刷の漢字・仮名交じり印刷キリシタン版「祈祷文」(上智大学キリシタン文庫蔵)を刷り上げた。その後、1594年には初の国産イタリック金属活字、1598年には漢字・仮名交じり金属活字の製作にも成功し、その後1612年の禁教によるイエズス会の日本からの追放までの20年弱の間に刊行された「キリシタン版」は、現存が確認出来るだけでも40点を数え、日本初の活字印刷として印刷・出版史上も名高い。

本書は、この「キリシタン版」を中心に、その刊行に至る当時のキリスト教布教の事情、キリシタン版自体の書誌的な詳細(紙、造本、判式、活字、綴り字規則、用字法)、翻訳に伴う当時の思想史的な状況、辞書・文法書などの語学書が日本語学史上に持つ意義などを、それぞれの分野の最前線に立つ研究者を糾合して、現在のキリシタン版研究の水準を世に示したものである。

キリシタン版の再定位

キリシタン版は、その特異な成立背景と、禁教によって頗る稀覯であるために、日本出版史上は特異・例外的な存在とされて来た。本書は、前期キリシタン版の使用活字が、欧文も和文(漢字・仮名)も共に欧州産の金属活字である事を明らかにした上で、キリシタン版の判式が、当時の欧州の判式としては特異ではなく、却って(キリシタン版直後に出版開始される)日本古活字版の判式にも類例が見られる事や、(和文活字を新たに日本で鋳造した)後期キリシタン版の用字法も、日本の伝統的な用字法に則り、更に整理を加えたものである事などを明らかにして、日本印刷史の上にキリシタン版を再定位する事をめざしている。

キリシタン版出版に至るまでの宗教改革後のイエズス会を始めとする諸修道会の背景事情の解説、「管区」と「教区」といったこの分野独特の用語の明快な定義を含む用語集・年表・索引など、初めてこの分野に接する読者にも、読み易く、使い易い参考書となるように心がけた。

編著者からのメッセージ

キリシタン版について、日欧交渉史・思想史・技術史・出版史・言語史・書誌学といった多角的な分野から、それぞれ最前線の著者17人を集めた本格的な論集は、本書が初めてであり、どこを取っても、本書こそが、キリシタン版に関する最新・最良の情報源であると自負している。参考書(引く本)としては勿論、新出キリシタン版発見の際の発見者自身によるドキュメントなど、読む本としても興味深い一冊となるであろう。

※本ページの情報は作成時(2013年度)の情報にもとづいています。

尚、本書は、2014年5月に第35回日本出版学会賞(2013年度)を受賞しました。

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