上智大学 文学部

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古典文学演習[2013年度 開講科目]

源氏物語葵巻を多角的に読む

国文学科 三田村雅子教授

政治的不遇の中の光源氏の女性関係とは?

源氏物語の葵巻は葵上の死と六条御息所のもののけの語られるドラマティックな巻です。ここには桐壷院の退位を受けて光源氏方の勢力が衰えた状況も微妙な影を落としています。政治的な文脈と私的な愛情関係がもつれながら展開される物語の醍醐味を、参加者全員がそれぞれ問題提起しながら読み進めていきます。

特に後半部は葵上の死とその悲しみ。六条御息所との絶縁。喪に服す左大臣夫妻と光源氏の共感の場面など、見どころの多い場面が続きます。光源氏と紫上との結婚が実現したのもこの巻でした。終わることなどない悲しみの持続と、それでも変わっていかざるをえない状況とのせめぎあいの中で、光源氏はどう生きるのか。

政治に翻弄されながら、自己を見失うまいとする光源氏のあがきを、さまざまな角度から浮き彫りにしていきましょう。

まず、疑問を!

みなさんは「古典」というと、正確にあるがまま、その時代の価値観も含めて丸ごと受け止めなければならない「教科書」のようなものだと思っているかもしれませんが、大学で学ぶ「古典」は、今生きている私たちにとって「古典」とはどのような意味を持っているかを常に問いかけるものでなくてはなりません。あらゆる叙述の中から、どうしてこのようなものが描かれるのか。どうしてこのように描かれるのかを考えながらその意味を問う作業を基本にした演習です。

さいわいこの演習で取り上げる葵巻にはもののけ現象をはじめとして解読困難な謎がいくつもたちはだかっています。これらの謎を取り上げ、自分なりに捜査・研究・分析して、納得のいく、説得力のある「答え」を出していくことを学びます。そうした基礎的な手順を身に付けてもらうことも目的の一つですが、それよりももっと大きな目標は、みずから考えていくことの楽しさ、人に伝えていくことの喜びに気づいてもらうことです。発表し、質問し、答えていくことで気づいたことが、何より大切な「宝物」になると思います。

高校生へのメッセージ

物語や小説の語り方は私たちが自分の人生を振り返ったり、他者の人生を見つめたりする時の基本的な認識の構造を示しています。私たちも無意識のうちに物語的な文脈の中に絡め捕られてしまっているかもしれません。「物語的なもの」はそれほど魅力的で吸引力のあるもので、同時に危険なものでもあるのです。物語とはどのようなもので、どのように私たちを絡め取ってしまうのか、考えてみることは、現代にあっても、現代だからこそ大切なことだと思います。「物語」の魔力に取りつかれてみることを強くお勧めします。

※本ページは2013年度開講時の情報にもとづいています。

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