文学部横断型人文学プログラム

学びの特徴
-文学部 現代とクラシックスのクロスオーバー-

Special Topics in Language Studies 1
[2019年度開講科目]

「国際語としての英語」とは? 
世界の英語の「いま」を知る

英文学科 城座沙蘭 助教

EnglishからEnglishesへ:英語の国際語化と多様化

 英文学科では、英米文学のほか英語教育、翻訳、文化研究など多様な専門分野の講義が開講されており、Special Topics in Language Studiesはそうした科目の一つで、英語学関連分野を扱います。今学期はIntroduction to Global Englishesと題し、「国際語としての英語」に関わる様々な問題について、講義や発表を通して学んでいます。英文科開講の授業ですが、テーマへの関心の高さから他学部の受講生も多数います。学科を超えた交流の場があるのは、ほとんどの学生が一つのキャンパスで学ぶ上智大学の長所の一つです。

 現代の世界では、第二、第三の言語、あるいは外国語として英語を習得し、使用する人々が、英語母語話者の数を圧倒的に上回ります。彼らの使う英語には、母語話者の英語に照らせば「非標準的」な発音や語彙、文法が数多くみられます。しかし彼らは日常生活の中で、こうした英語を相互の意思疎通に問題なく使用しているのですから、それはもはや「間違った英語」ではなく「新しい英語(New Englishes)」と呼ぶべきものになっています。

 この講義では、英語がどのような歴史的経緯を経て国際共通語の地位を獲得したのか、英語の国際語化によってどのような恩恵や弊害がもたらされたのか、さらには、英語を母語としない人々のEnglishesにはどんな特徴があるのかなど、いろいろな角度からGlobal Englishesについての考察を深めていきます。

「私」にとって、英語はどんな言語なのか

 学生には、「英語は国際語である」とはどういうことか、翻って自分にとって「英語はどんな言語なのか」という二つの問いについて考えてほしいと思います。日本では、英語を日常的に使う機会はあまり多くないにも関わらず、ほぼ全員が今や小学校から英語を学び、大学入試や就職でも英語力が問われます。他方、社会に出て英語を使う場面があれば、その相手は英語母語話者ではなく、非母語話者の可能性が圧倒的に高いのです。英語の国際語化や多様化について学ぶことは、学生自身がそれぞれ何のために、どんな英語をどんなレベルまで習得したいのか、批判的に考える機会となります。英語といえば英米の言語という思い込みからは、ぜひ自由になってほしいと思います。

 授業中はグループディスカッションを多用し、学期半ばには、学生がグループごとに、世界の様々なEnglishesの中から一つを選び、その歴史的背景や言語学的特徴、社会・政治的位置付けなどを紹介するプレゼンテーションを行います。講義は日本語ですが、授業の資料は全て英語、プレゼンやディスカッション、レポートの言語は日英どちらも選択可能です。この授業そのものが、日本語も英語も飛び交う、国際語としての英語の実践の場でもあるのです。学生には日本語も英語もそれぞれ、自らが使える言語資源の一つとして位置付けてほしいと願っています。

高校生へのメッセージ

 英語に限らず、異言語を学ぶことは、自らの母語や文化を映す鏡を手に入れること、難しくいえば「相対化」する視点を得ることです。

 「英語を学ぶ」だけでなく、「英語について学ぶ」、そして「英語でも学ぶ」ことを通して、バランスのとれたバイリンガルを目指してください。

 そしてぜひ、英語以外の言語にも挑戦してください。

※本ページは2019年度開講時の情報にもとづいています。